改装工事の法的対応はハードルが高い2015/11/07 09:47

昨今、商業ビル火災での人災の報道をお多く見ます。
ほとんどが既存不適格建築物(現在の建築基準法等に不適合)のようです。
消防の指導はあると思いますが?建築基準法の適法化はかなり難しいのが事実です。

以前に商業ビルを集会施設に用途変更と大規模な模様替え、いわゆるコンバージョンの相談を受けました。

現調もしたのですが、完了検査済証の有無を確認したところ20数年前のことで施主の手元にも、役所の記録にも残っておりませんでした。

添付のフローチャート図に分かりやすくシュミレーションしました。

検査済証が無い場合、仮に増築、用途変更や大規模の修繕、改築を行う場合は既存の建物に関しても現行法に合わせる必要があります。
つまり新築と同等の確認申請が必要となります。構造的にも躯体を確認し再計算、及び耐震補強をすることになり構造計算的にも実際もかなりの困難を要します。

結果的に、だましダマシの同用途での現況の改装での活用がほとんどで、防災的にも不十分な建築物が多く存在することとなってます。

仮に、検査済証が存在した当時の合法建物でも、その後の増築や改修(大規模な模様替え)を合法的に確認申請、完了検査を受けることも程度によりますが?やはり難しい(特に構造的に)のが事実です。

よって、改築か古い建物での既存不適格建築が残ることとなっています。

古い商業ビル等は利用時に避難経路を確認するとかの危機管理を行って下さい。

そして改装の場合は、先のだましダマシでの改装など、専門家不在の場合が多く、最善の選択とはなりませんので、信頼できる専門家にご相談下さい。

金物工法色々2010/05/18 01:23

金物工法の採用は幾つかありました。

最近、施主紹介である金物工法メーカーと打ち合わせしました。

梁スパンは2.5間までしか供給できない!
持ち出しは1.2mまで!
登垂木梁(片流れの収まり)は対応できない!
と、

「ここに、柱を入れれば弊社の基準に合致します。対応可能です。」と、

哀しい打ち合わせとなりました。

空間を決めるのは、施主と設計者。
工法から空間を決めるのは、簡易的空間を作っているハウスメーカーなど。

自由な空間と創造的空間には馴染まない!!!

主役はメーカーではなく施主、設計側ですよ!

在来の自由度を可能とする金物工法メーカーを紹介し、施主サイドも納得。私も納得。

確かに金物工法は色々あります。
善し悪しは、各状況判断となりますが?
基本は在来工法の良さだと思っています。
そこに、金物。
できるだけ木との馴染み、嫌みななく自然な存在としての金物が望ましいです。

在来工法と金物工法のレンジは色々です。
在来のほぞと、箱抜きボルト工法がバランスがとれていますが?進化しています。
金物の主張は余計なお世話です。

断面欠損(金物の挿入として木材を削る)が少なく、施工手間がかからず、コスト的にバランスがとれて、設計の自由度がある工法がGOODですかね。

木造住宅の在来工法と金物工法2010/05/18 00:40

最近、専門の話が少なくなってました?””
時系列で、クライアントとのやり取りはデリケートなため控えていました。
と、イベントがらみしか、書き込めなくなってました。

専門経験と一般論に帰して少し書き込みます。

木造住宅は、大きく、木造在来工法住宅と、ツーバイフォー住宅があります。

ツーバイはおいといて、在来の話です。
(語れば長くなりますが、風土に馴染んだ工法が適切かとも!)

近年、耐震的に在来工法での金物補強が建築基準法の告示で義務づけられています。

主に柱と梁のジョイント部の接合方法です。
かつては凹凸の木組みで組み合わせていました。
在来に信頼性は無限(時系列の解析検証)と不確かから?

合理的な(実験や数値判断)から金物補強が前提となっています。

現在の建物は、結果、羽子板ボルト等金物が露出し、インテリアとしての露出部(屋内で見える部分)は嫌みな存在となります。

工法(耐震)の安定性と施工的合理性と意匠性を求めたバランスとして金物工法があります。(露出部も目立たない収まりとなっています)

金物工法も各種メーカーなど様々な工法を持っています。
ほとんどが、プレカットメーカー(木材の加工)の仕様、供給となります。

現時、前提として金物仕様が義務づけられている限り、トータルに金物工法が合理的に有効だと判断しています。
しかしながら、在来の職人の伝統的技術も傍らにあると思っていますが?(コスト的にも一般住宅では奇特な存在となりそうです。)

●施工費(工事費)見積9 ー納得のできる見積ー2009/07/24 15:44

さて、見積の話のラスト抄。
”納得のできる見積” ”分かり易い見積”
に関してです。

先にの「材」「工」でも触れましたが、
基本的に『原価見積』を工務店に求めています。
(協力業者と調整の上のリアルな単価!)
工務店によっては、最終原価(支払い書添付)にて差額清算をするところもあります。(追加は別途清算)
もちろん、設計事務所はほぼ原価を把握している訳ですが。
無為な調整、ネゴのやり取りが減り、施主にしても駆け引き無く気持ちよく契約に至るケースが多いです。

そして、重要になってくるのは”経費”です。
ここが、工務店の利益となります。

以前は、材工一式や材に上乗せ単価が多く、結局、見積のブラックボックスのため、一般の施主にとっては「まだまだ安くなるのでは?」と、工務店においては「値切り幅をふかしての見積」となっていました。そして、ザックリと経費を削ずったり等の調整となります。見せかけ(見積書上)では、工務店利益が無い状況となります。(逆に値引き幅をふかす必要もあった訳です。)益々ブラックボックスの状態でした。

『原価見積』はこの”経費”を純(工務店の粗利)利益として確定することにあります。

では、”経費”は実際にどれくらいか?
地域差、工務店規模の大小はありますが、一般住宅の場合、概ね工事総額の15%前後です。(10%以下では厳しく、20%では良い仕事というところでしょうか?)
注!!あくまで、原価見積の上での話です!!

では、大手ハウスメーカーなどは?企業努力と言えばそうですが?大量仕入れ、ローコスト化、量産品(大手メーカー用に供給する廉価製品等)、原価を公表せず不明確な状況(原価に利益をふかした状態です)。さらに、下請けへの低工賃。

もっとも、広告宣伝、営業、多くの従業員を雇用するためには当然、それなりの、実質経費が必要です。
つまり、プロが拝見するに、総工事費の30%から40%の売り上げとなっています。

つまり、実物の住宅にかかっている価値は、町場の工務店(経費15%とすると)より、15%から25%低いということになります。

設計事務所に設計報酬を払ったとしてもお釣りが出るし、自由なプランや空間、厳選した仕様材料の提案等。
施主+設計事務所+工務店のコラボレーションはさらに住宅の空間価値も高めます。

●施工費(工事費)見積8 ーその前提4―ネゴ?ー2009/07/22 01:52

見積で良くあるのは、”ネゴ”=ネゴシエーション。
中々難しい世界ですが?

クライアントの気持ちとしては、「少しでも安く気持ちよく発注したい!」との思い。

施工者は値切りを見越しての見積と、駆け引き?

設計事務所が入れば両者の不確かな世界がクリアーなんですけど?

我々も見積りが上がったら、厳しくチェックします。結果、妥当な価格に収まるのが普通ですが?。

いつも思うんですけど、最初から適切な見積を出してくれれば我々の努力の必要ないかとも?

日本の風土の前提があるんでしょうね?
大前提に見積はかなり吹っかけられている?と言う施主の思い。
施工者は、値切られると言う思い。
微妙な関係にあります。

ネゴは地域性もあります。関東ではあまり無いのですが?」関西では、契約前で(なんぼやねん?)、契約時で(それで、幾らやねん?)、さらに支払い時(この辺やろう!)と。3段値切りの話も聞きます。さすが商人の文化?

確かに商品はそれでも?ただ、建築は空間!!!一筋縄では行きません!!
結果的に、職人にしわ寄せが来ます。先にも触れましたが、職人が気持ちよく良い状況で現場に関わることが、120%の良い仕事をしてくれるということです!

嫌々ながらの気持ちの入らないコナシ仕事はそれなりの結果となります。
クライアントの気持ちは分かります。しかし、値切った満足感と、結果は=ではありません。
(業界では以前の神戸の大震災での倒壊建物の背景に、3段値切り、の背景もあったとの意見も聞きます。)

「見積と実」はこの辺が微妙です。!!!

施工者と、時には戦ったり、時には褒めたり、時には励ましたり!と厳しい関係の中での信頼感が良い空間造りの基本です。
事実、「施工者や職人にあまり言い過ぎると嫌気に思われたり?クレーマーと思われたり?職人のやる気を削いだり?」と、微妙な関係での不安もあります。”施主はわがままで良いのです!”そこには、設計事務所と言うプロがいればきちんと整理いたします。

●施工費(工事費)見積7 ーその前提3 ―2009/07/21 00:45

見積の話、話せば話すほど、世知辛い世の中?、クライアントのために最高の住まいを!との、想いはほど遠く!!

かつて、戦後の住宅不足と、大量供給が求められていた時期。
多くの建築家、今、名の残る巨匠(前川氏、池辺氏等)が、社会的使命からローコスト、工業生産という課題ので住宅を提案してきました。

確かに、住宅の工業生産、大衆化と言う、課題は、良いのか悪いのか?ハウスメーカーに商品としての住宅としての系譜をなしているのかな?

そもそも、大衆に住宅を!という想い!!!
量産は大衆化!!!でしたが?
時を経、その努力や思いが、企業の利益と拡大に、、
施工費の話でも、職種を減らすのがローコストと!と、
確かに大手ハウスメーカーはその通り、見るからにローコスト住宅です。建築家の思いと裏腹の世の中です!

彼等が、広告宣伝、営業とその利益はすべて一つ一つの現場からです。

大手企業での安心も一つの選択だとも思いますが、大手だから安心でもありません!人と地域との繋がりも無い企業。平気で倒産もしますし仁義もありません。

反面、地元の中小工務店(少なくとも付き合いのある工務店)は、地域と人の繋がりを基本に(地域の信頼が基本)、メンテを含めクライアントを大事にしていますよ!。

高額の住まい、夢の住まい!!
商品、製品としてでなく、”空間”としての価値のある住まいを手にしてみませんか!?

●施工費(工事費)見積6 ーそのからくり、”工”の話ー ―2009/07/16 22:21

さて、”工”の話。
見積には、材料費と人工(にんく)=”工”の手間賃と大きく分けられます。
人工に関しては、各業者ばらつきがあります。
坪単価で見たり、実人工(人単価×日)で見たりです。

木造住宅では、ほとんどが大工人工です。

平均的には45,000円/坪です。地域や工務店によっては差異があります。30坪の住宅だと総額135万円(諸経費込み)となります。では、大工さんが実に現場での人工を見ると、二人で平均1.5ヶ月となります。一人当たり45万/月です。

妥当かどうかは微妙ですが?

さて、日本は海外に比べ住宅建設費が高いと言われています。例えば、アメリカだと日本の1/3程度で住宅が手に出来ます。
では、何が違うのか?
日本は、先の”材”の話でも触れましたが、20以上の職種が住宅建設に関わります。
さらに、各職種と同じく材料も多様です。
多くの人達が関わることの背景は、国の製造物責任法等も背景にあります。(材と工が一体でないと保証できないケース)
例えば、キッチンを取り付けるにも大工さんや監督さんも手慣れたものですが?他の手を入れるとメーカー保証はありません。そんなこといからも、細分化しています。

では、アメリカ等は、昔の日本と逆に同じように大工さんがほとんどの施工をします。職種としても大工、基礎工事、ドライウオール、(設備、電気?)が基本です。職種の少ないことがローコストの背景です。

また、製品、材料に関しても問屋が無く中間マージンが無いことから(市販のホームセンターと仕入れ値はほぼ同じです。)です。

少し話はそれましたが、人工に関しての一律判断が正しいかどうか?業務経験や力量もあります。一律単価では判断できません!!!

ハウスメーカーの大工と(大工と言えるかどうかも問題?)、手造りの職人、とは、歴然とした差があります。

先日、付き合いの工務店の監督が近所の大手ハウスメーカーの職人に「早いね!仕事楽しい?」と聞いたところ、殴られそうになったとか?そりゃーそうでしょう!
マニュアル、システムでものを造っている人達。
かたや、クライアントの喜ぶ顔を思い浮かべながら工夫する職人達。
想いも、気持ちも、結果も当然違います。

手造りの職人達に、一律単価は?失礼だと思っています。
当然、クライアントの立場としては安いにこしたことはありませんが!!
気持ち的には”工”の人工のランクを決めての見積も必要かと考えています。そうでなくても、”職人”は100%で当たり前、120%で施主の笑顔が見れる”職人根性”こそプロとしてのプライドと良い仕事をしている代物です。
例えば?
Aランク:30年以上の経験と技;例えば6万円/坪
Bランク:15年以上の経験と技;例えば4.5万円/坪
Cランク:15年以下;例えば3万円/坪
Eランク:例えば?メーカー傘下の小口打ち、平打ちの組み立て大工;2万円/坪
とか?当然単価が違って当たり前です。
良い職人を使う場合は、単価をアップすることも必要かと思います。ローコストはそれなりだと思います。
(とは言え、安くてベストなものを求めるのは、私も同じですが?””)
システムだけではなく、ニーズとしてのクライアントの理解が(手造りの職人ならではの空間を手に出来ること)、未来までの建築の土俵を、良い住まいが出来ることの一歩だと考えています。

●施工費(工事費)見積5 ーそのからくり、”材”の話ー2009/07/15 00:38

見積のシステムは、確かに複雑です。

かつては、細項目でも協力業者さんから材工一式で、見積に上がっていました。

近年、材(製品や材料)と工(人件費や人工)を分けるのが、一般的です。施工者の企業努力として、材の直接仕入れも多くなっています。つまり、以前は協力業者さんが材の仕入れに幾分、上乗せした単価で見積もっていました。

材(製品)の流れは、メーカーが販売。代理店や問屋を数社通し市場へとなります。そのシステムも分からないでは無いですが?(代理店や問屋が、営業や広報を担っている現状?)
つまり、発注元のメーカー出荷値段から、数社のマージンが上乗せされ、市場へと、先の材工一式はさらに協力業者さんが上乗せするシステムでした。

このシステムから逃れられないメーカーさん(持ちつ持たれつの関係)。市場では新商品でも2割引!等の表示がなされています。無論、原価は分かりませんが、以前(大分昔)に現場で良く言われたこと「半値8掛け5割引」(特にサッシなど?)などと、、、つまり、2割程度となります。今こそ定価設定が少しずつリアルに近づいていますが?

材(製品)の安さは、見積で一番、目につくところです。大手は大量仕入れで仕入れ値を安くできるし、企業努力をしている工務店は中間の流通を簡素化したりの努力もしています。

見積で上がってくるのは業界では「設計単価」。原価が不明の中、途中マージンも?不明、そして見積です。

ただ、経験や関連情報からも、業種、製品によりますが定価のほぼ6〜7割が通常です。(無論、メンテナンスリスクを含め1割くらいの上乗せは良しとしています!!)

良くリフォーム会社のチラシで、旧製品を4割引とか表示しています。多分在庫処分等で、実際は定価の2〜3割くらいのものでしょう?

(最近、ネットの普及とともにメーカー直販のルートもあります。施工者にも紹介し喜ばれるケースもあります。しかしながら、材工の責任は施工者にあります。品質には実績も重要な要素です。)

確かに、見積のブラックボックスはあります。不確かさ故の不信が施主にとっても施工者にとっても良く無いことと思います。

そこで、そのうち「納得できる見積」の話を!
つづく。。

●施工費(工事費)見積4 ー細項目の諸経費?ー2009/07/15 00:10

さて、前回でも見積りチックのポイントに触れましたが、補足します。

細項目の中の、各詳細の中での”諸経費”なるものがある場合!
基本的に諸経費は全体での諸経費のみが通常。
細項目の諸経費は、各関連業者やメーカーの実費内です。
つまり、とりまとめの(全体の)請負業者の諸経費は認めますが、各業者の諸経費は認めず、実費内です。

経費に経費がかかること、税金に税金がかかることと同じで、ダブル取りの裁量となります。

●施工費(工事費)見積2 ー見積書は施工者のやる気?ー2009/07/13 21:30

では、工事見積書とは。どのように上がってくるのか?

一般に請負業者が、設計図書を基に、各関連業者(下請け業者)に見積り依頼をし、上がって来た見積りを取りまとめ工事見積りとしてお客さんに提出します。

見積り内容は、大項目(共通仮設費、建築工事、電気工事、設備工事、外構工事、解体工事、諸経費、等)の項目で整理され、
中項目(仮設工事、基礎工事、木工事、内装工事、木製建具工事、鋼製建具工事、屋根工事、外壁工事、樋、板金工事、タイル工事、左官工事、塗装工事、雑工事、住設機器、、、)と内訳書にて整理されています。ここが、概ね各協力業者(下請け)さんの仕事の区分となります。
そして、さらに、中項目区分の細項目となり、各材料、人工をどれくらい(積算)、その単価がいくらで、総額いくらかの記載となります。

●見積りで重要なチックは
・細項目が無く、「工事一式」には、ご注意ください!アバウトかやる気が無いか、実力が無いことの判断材料となります。(大大前提に信頼があれば、構いませんが?)
・見積りの項目漏れが無いか?(指定したし仕様材料が入っていないとか?)
・単価は適切か?(この辺になると、プロの判断を要しますが?)

●見積書と企業努力、やる気!
・数社での競争入札をやると、たまに、総額の2割くらい高い見積りが上がることもあります。同じ図面と、同じ説明をしているのに!、
往々にして、”旧態依然の企業体質か”(下請けから上がったなりの見積りに数割加算し、取りまとめた見積り。昨今は下請けとの調整や、資材を元請けでの調達等の企業努力でのコスト管理が多い昨今!)
・設計事務所との付き合いがあまり無く「設計者は勝手に現場変更するし、、、」とかの偏見を前提にリスクの上乗せをする場合。多分、良心的判断では「今まで付合った設計者がひどかったんでしょう!?」設計事務所こそ、施主と施工者の公平な理解者です。
・後は様々な価値判断(先の偏見もあるかも?)からの、ダミーでしょう。

見積りを見れば施工者のやる気が判断できます!!!

つづく